麻葉亭

たまに立ち止まるかもしれないけれど、前を向いて歩いていきたい

フランス人形

ブログでお人形さんの写真を見ていて、ふっと遠い過去を思い出しました。

私は小さい頃からピアノを習っていました。
幼稚園の頃、私は綺麗なフランス人形がほしくてほしくて、毎日のように親にほしいとお願いしていました。とうとう両親が買ってくれる、という約束をしてくれ、たぶん、日曜日?両親、妹と連れ立ってフランス人形を買いに行きました。デパートだったのかな、場所は覚えていません。
その時、通りかかった楽器売り場でたくさんのピアノが並んでいるのを見た父は「弾いてみなさい」と言いました。大人しくて、親の言う通りにしてきた私は、その頃習っていた曲を弾きました。たちまち人が集まりだし、遠巻きにして聴いていたのを覚えています。でも嫌だったんです。たくさんの人の 前で見せ物のように弾くのが。
弾き終わると父が言いました。「違う曲を弾いてみなさい」
私は「弾きたくない」と言ったんだと思います。親に抗わなかった私が強く反抗したので、はっきりと覚えています。父の機嫌が悪くなり、弾かないとフランス人形は買わない、と言われました。弾けば買ってもらえる、でも弾きたくない。
私は結局弾きませんでした。怒った父は買わずに帰ると言い、大泣きしたのも覚えています。最後には買ってくれたんですけれど・・・。楽しかったフランス人形を買ってもらうということが、涙と小言とで楽しくなくなってしまいました。
そのフランス人形はまだ実家の忘れられたような隅っこに飾ってあり、その色あせた服を着た人形を見る度にその時の苦い気分を思い出します。