麻葉亭

たまに立ち止まるかもしれないけれど、前を向いて歩いていきたい

飛ぶイルカ

土曜日、羽田空港でボーッと飛行機を眺めていたら、その顔がまるでイルカみたいだと思いました。

冷たい、大きな、しなやかさのない金属で出来たイルカたち。その1頭に乗って青空の海原へ飛び立ちました。

東京の街の全体像が見え始めたと思った時、2月の初旬に自転車のイベントで渡った東京ゲートブリッジが一瞬見えました。遠くから眺めた橋は、その眺めだけでなく、存在自体も遠くなってしまっている気がして、私の時間はこの金属のイルカのように羽が生えて飛んでいるのかもしれない、とぼんやり思いました。

 

高度1万mから見た景色は寒波のためか白く染まっているところが多く、東北地方の太平洋沿岸を見ながら1年前の悲惨な災害の映像を思い出しました。着の身着のままで逃げた人たちの映像でも雪が降っていました。自然は色々な人たちの思いとは離れたところで手加減なく今年もこうしてまた白い景色に変えてしまった、人の悲しみや嬉しさなんて、自然の前ではちっぽけすぎる…。

きっと漆黒の宇宙から青い地球を見たら、もっと違うものを感じるかもしれません。無力さや自分の存在感を通り越した何か、人生観が大きく変わってしまうような、不思議な期待感みたいなものを、体験できないと思いつつも感じています。